仙道・フナ・催眠術

人生を楽しむことと瞑想


「瞑想をすると感情に振り回されなくなる」――そんな言葉を耳にしたことはありませんか。
特に止観(サマタとヴィパッサナー)の実践を続けると、怒りや不安、嫉妬といった感情が小さくなり、心が穏やかになっていきます。

しかし、そこで多くの人が疑問に思います。

「それって、うれしさや楽しさまで消えてしまうんじゃないの?」


感情をなくすのではなく、感情に自由になる

瞑想が取り去るのは「感情」そのものではありません。
消えていくのは「感情に振り回される状態」です。

喜びや楽しみは、もちろん残ります。むしろ、雑念や比較にとらわれなくなることで、以前よりも鮮やかに味わえるようになるのです。

たとえば、美しい景色を眺めたとき。
瞑想を続けている人は、余計な心配や「誰かと比べる思考」にとらわれにくいため、その瞬間を純粋に楽しめます。


止観がもたらす「心の余白」

止の瞑想(サマタ)で心を静め、観の瞑想(ヴィパッサナー)で心の動きを観察するようになると、感情が湧いても必要以上に膨らませなくなります。

  • 怒り → 一瞬で消える
  • 不安 → 「ただの思考」として流せる
  • 喜びや楽しみ → 曇りがなく、より純粋に感じられる

瞑想は感情を「平板にする」のではなく、苦しみを薄め、喜びを際立たせる方向に作用するのです。


本当の楽しみを知る

瞑想を続けることで、楽しみの質も変わっていきます。
外から与えられる刺激による一時的な快楽よりも、静かで持続的な満足感が心に広がるようになります。

それは「心がブレない安心感」から生まれる喜びであり、日常のささやかな出来事――温かいお茶を飲むことや、風に吹かれること――さえ深い幸福へと変えてくれるのです。


まとめ

瞑想は人生から楽しみを奪うものではありません。
むしろ、余計な苦しみを減らし、本物の楽しみを見つけやすくする方法です。

感情に振り回されないということは、感情を失うことではなく、感情に対して自由になること。
そのとき初めて、人生の喜びをまっすぐに味わえるようになるのです。

瞑想・医学・歴史を横断的に探究するライター 当ブログでは科学と精神の両面から人間の可能性を追求し、その成果をわかりやすく発信しています

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