〜潜在意識とマナを活用する秘教的催眠術〜
催眠術や暗示の力は、現代心理学でも広く認められています。人は言葉やイメージによって潜在意識に働きかけられ、痛みが軽減されたり、行動が変容したりすることが多くの実験や臨床で示されています。しかし、古代ハワイの秘教「フナ」は、単なる心理学的説明を超えて、暗示と生命エネルギー(マナ)の関係を体系的に示していました。本記事では、フナにおける暗示の概念を解説し、催眠術との関連や現代心理学との接点を明らかにしていきます。
フナの三つの意識と暗示
フナの思想における三つの意識、ハイセルフ、ミドルセルフ、ロウセルフについての詳しい説明はフナの章をお読みください。ここでは催眠に関係する二つの意識、ミドルセルフとロウセルフについてその性質と関係を説明します。
暗示が効力を持つのは、ロウセルフに届いた時です。顕在意識で「禁煙したい」と思っても、潜在意識に「タバコで安心する」というプログラムが残っていれば、禁煙は難しい。逆に、ロウセルフに「タバコは不要で快適」というイメージを植え付ければ、自然に行動は変化します。
そして暗示を送れるのはミドルセルフだけです。ロウセルフを催眠状態へと導けるのも、暗示を入れられるのもミドルセルフだけです。
暗示とマナ(生命エネルギー)
フナの大きな特徴は、「暗示は単なる心理作用ではなく、マナという生命力の流れを伴って潜在意識に働きかける」と説明する点です。
- マナの生成:ロウセルフは食物や呼吸からマナを生み出し、心身の活動に供給します。
- 暗示の伝達:顕在意識が作った言葉やイメージは、マナを伴ってロウセルフに送られます。
- 祈りや奇跡:ロウセルフがマナをハイセルフへ送ることで、願望が現実化する条件が整います。
つまり、暗示は「心理学的な思考操作」ではなく、エネルギーと意識を結びつける実践行為なのです。これはメスメルが唱えた「動物磁気(メスメルパワー)」とも深く共鳴しています。メスメルは手をかざして患者を治療しましたが、フナ的に解釈すれば、彼はマナを媒介に潜在意識へ暗示を伝えていたのです。
暗示が働かないとき ― 抑圧と潜在意識の抵抗
フナでは、ロウセルフに「抑圧された感情」や「未処理の記憶」が残っていると、暗示が通じないと考えます。現代心理学でいうトラウマや固定観念にあたります。
例えば、
- 「私は成功できない」という深層信念を持つ人に「あなたは成功する」と暗示しても拒否される。
- 子どもの頃の恐怖体験が残っていると、どんなポジティブ暗示も無効化される。
この状態をフナでは「道が塞がれている」と表現し、まずはロウセルフとの交流(自己対話、夢作業、ペンデュラムによる潜在意識の確認など)を通じてブロックを解消する必要があると説きます。
現代催眠療法でも同じことが言われています。潜在意識の抵抗を取り除かない限り暗示は定着しないという点で、フナの理論は心理臨床の実践に先行していたと言えるでしょう。
トラウマと固定観念の発生
ロウセルフの意識状態は常に夢の中と同じです。外から入ってくる刺激、情報を分析、処理するのもロウセルフの役割ですが、その時に暗示を受け入れてしまうと制御不能となります。そのためロウセルフは外界からの刺激を単なる情報として処理します。
この時、強い感情を想起させるような刺激の場合、それがトラウマとして処理されます。
例:子供のころ、犬に嚙まれたことがあると、それがトラウマとなり犬に対して恐怖を感じるようになる。痛みを伴う記憶がトラウマのトリガーとなっている。
このような人に、犬を想起させるような暗示を入れようとしても潜在意識が抵抗します。
効果的な暗示の条件
フナと現代心理学を統合すると、効果的な暗示には次の条件が必要です。
- 肯定形であること
「私は失敗しない」よりも「私は成功する」の方が潜在意識は受け入れやすい。 - 具体的でイメージ化できること
「健康になる」よりも「毎朝、軽やかに目覚めて新鮮な空気を吸う」の方が強力。 - 感情を伴うこと
マナは感情と結びついて強化される。喜びや感謝を込めて暗示を与えるほど効果は大きい。 - 繰り返し
潜在意識は習慣の領域。暗示は一度よりも繰り返すことで深く定着する。
これらは催眠療法や自己啓発の分野でも一般に知られていますが、フナはそれを「マナの流れと三意識モデル」で理論化している点が特徴です。
現代に生かすフナの暗示法
今日、私たちはフナの暗示の概念を以下のように応用できます。
- 自己暗示による行動変容
毎朝、深呼吸とともにポジティブな暗示をロウセルフに与える。 - 瞑想との併用
瞑想で心を静め、マナを充電してから暗示を行うと効果が高まる。 - 癒しとセラピー
潜在意識に残るブロックを解放し、新しいイメージを植え込む。 - 祈りの実践
フナでは祈りも暗示の延長であり、ロウセルフを通じてハイセルフに思念を送る行為とされる。
フナにおける暗示の概念は、単なる心理的テクニックを超えた体系的な理解を提供しています。
- 暗示はロウセルフ(潜在意識)に届くとき初めて効力を持つ
- マナという生命エネルギーが暗示の伝達を支える
- 抑圧や固定観念があると暗示は働かない
- 催眠術や現代心理学とフナの理論は互いを補完する
つまり、フナは「暗示=意識とエネルギーを結ぶ架け橋」として説明しており、これは現代の心理療法や自己啓発にも通じる普遍的な知恵です。