メスメルパワーと生命エネルギー

18世紀、ドイツの医師フランツ・アントン・メスメルは「動物磁気(Animal Magnetism)」という新しい概念を提唱しました。これは後に「メスメルパワー」と呼ばれ、人間の体に流れる生命エネルギーを操作することで病を癒す方法です。現代では催眠術の原型として位置づけられていますが、ハワイの秘教体系「フナ」に照らすと、さらに明快な解釈が可能になります。


1.メスメルパワーとは何か

メスメルは、人間や動物の身体には目に見えない流体的な力が流れており、その乱れが病気を生み出すと考えました。したがって、手をかざす・道具を使うなどによって流れを調整すれば健康が回復するとしたのです。

患者の多くは、治療の場で涙や痙攣、恍惚状態を体験し、心身が浄化されたと証言しています。これは単なる思い込みやプラセボでは説明できず、実際に生命エネルギーに変化が起きていたと考えられます。


2.フナによるメスメルパワーの解釈

フナ的に見ると、メスメルが用いたのはロウセルフを利用した治療でした。施術者はまず自分の生命エネルギー(マナ)に暗示を込め、それを患者に送ります。患者がそのエネルギーを受け取ると、患者のロウセルフが暗示を受け入れ、自己治癒の働きが起こるのです。

つまり、**メスメルパワーとは「暗示を帯びたエネルギーを介してロウセルフに働きかける方法」**であったと解釈できます。


3.暗示を込めたエネルギーの伝達方法

メスメルの治療には、直接の手かざし以外にも「間接的な方法」が存在しました。

  • 磁化された水:エネルギーを込めた水に足を浸すだけで、患者の症状が改善した
  • エネルギーを帯びた棒:磁気を込めた木の棒を手に持つことで、治療効果が現れた
  • 集団治療:エネルギーを蓄えた装置(木桶など)の周囲に患者が集まり、同時に癒しを受けた

このように、施術者が暗示を込めたエネルギーは、物を媒介としても患者に届くことが示されています。これはフナにおける「思考形態(thought-form)」や「マナの転送」の理論と一致します。


4.メスメル治療の衰退と可能性

残念ながら、当時は理論展開が不十分であり、医学的根拠を求める時代の流れの中でメスメルは批判にさらされました。結果として、彼の治療は「迷信」とされ、医療の主流から排除されてしまったのです。

しかし、その効果は現代の臨床催眠や心理療法に引き継がれています。さらにフナの体系を用いて解釈すれば、メスメルパワーは潜在意識を介した生命エネルギー療法であったことが理解できます。

もし適切な方法で、熟練の術者が暗示とエネルギーを正しく扱えば、その治療効果は現代医療に並ぶ、あるいはそれを補完する一分野として確立できる可能性を秘めているのです。


5.現代に活かすメスメルパワー

今日では「メスメルパワー」という言葉はあまり使われませんが、その思想は次の形で生きています。

  • 催眠療法:禁煙、ダイエット、PTSDの治療
  • ヒーリングや気功:手をかざすことでエネルギーを流す実践
  • 自己暗示:スポーツやビジネスでの集中力向上
  • 瞑想・呼吸法:エネルギーを整え、潜在意識を活性化

これらはすべて、生命エネルギーに暗示を乗せて潜在意識へ働きかける技法と見ることができます。


メスメルが発見した「動物磁気(メスメルパワー)」は、フナの視点から見ると「暗示を込めたエネルギーがロウセルフに作用し、治療を可能にする方法」でした。手かざし、水、道具といった媒介を通じて患者に届けられたその力は、当時こそ理解されませんでしたが、現代の心理学・エネルギー療法とつながっています。