呼吸法による気の発生から小周天まで

ここからは筆者が実際に習った方法をもとに解説します


座り方

両盤座で座ります。あぐらで座り、両方のももの上に反対の足をのせる座り方です。どうしてもできない場合は片方だけ載せます(単盤座)。背筋が伸びるよう、お尻の下に座布団を折ったものを入れます。専用の座布でも良いでしょう。

呼吸法

私が習ったのは次の3種類の呼吸です

  • 武息
  • 文息
  • 半文息

武息

火の呼吸とも呼ばれ、もっともはげしい呼吸法です。三つの動作を同時に行います。

大きく息を吐きます。すべての息を吐きだすイメージです。それから鼻をすぼめ、すっすっすっと切れ切れに息を吸い込みます。息を吸うと同時におなかを少しずつ膨らませます。そして呼吸に合わせてお尻の穴を強く締めます。八分くらい吸い込んだら息を止めておなかに強く圧力をかけます。この時おなかの周囲の筋肉に力を込めます。それから今度は息を吐いていきます。吸い込む時と同じく、鼻から切れ切れに息を吐きます。同時におなかを少しずつへこませ、お尻の穴を閉めている力を徐々に緩めます。

吸・停・吐のバランスは、10:15:10くらいですが、気の発生が弱い場合は停を長くして吐を短くしても良いです。私が習った時は連続して1時間以上行っていました。できる人は2時間くらいやっていました。

ポイントは吸い込んだ息に含まれる気を逃さないよう、意識でとどめるイメージをすることです。一気に吐いてしまうと気が逃げてしまいます。コツとしては発生した熱を逃さないようにすると上手くできます。

この呼吸を続けると全身が燃えるように熱くなり、強い気が発生します。しかし体力の消耗も激しいので連続でできるようになるまではかなりの練習が必要です。

文息

この呼吸は武息と違って全く意識をかけません。ただ座って瞑想を行います。呼吸に意識をかけず、無意識のままに任せます。そして丹田に意識を置き、気の発生を待ちます。瞑想の段階が深まると武息よりも強い気が発生します。楽なのですが瞑想を深化させないとできないので、導いてくれる人が必要となります。

半文息

武息と文息の中間の呼吸法です。武息ほど激しくなく、文息ほど難しくないです。やり方は武息と同じですが、強い呼吸を行わず、吸・停・吐とイメージだけで行います。時間はかかりますが簡単なので初心者向けです。武息の練習としても使います。


陽気の発生

呼吸法を行いながら丹田に意識を集中していると、徐々に圧力や熱を感じるようになります。これが気です。気が発生すると動き出すことがあるので意識でとどめるようにしてください。気の発生は呼吸法を行っている間だけですが、何もしていなくても丹田に意識を向けると気があるのが分かります。この段階になると注意することがあります。

気の消耗

性欲が強まるために射精したくなります。次の段階に行くまでは我慢してください。出してしまうと最初からやり直しになるだけでなく、気の発生が一時的に弱まってしまいます。また勢力が強くなって活動的になり、仕事や遊びに夢中になったり、夜更かし、深酒をしたりしやすくなります。節制を心掛けてください。

錬気

丹田での気の集中を行っていると、強い熱と圧力が発生してきます。これが陽気です。ですがまだ弱いのでどんどん意識で気を送り込みます。足して圧縮、足して圧縮を繰り返します。やがて気を送り込まなくても周囲から気を吸収して安定してきます。そうしたら次に進みます。

小周天

意識で丹田に維持していた陽気を動かすようにします。丹田の下、会陰に向かって流すのですが、そちらだけ意識で力を緩めるようにします。すると陽気の塊が動き出します。ルートを外れないよう、しっかりと意識で制御してください。この時、性器の方に向かってしまうといきなり射精して外に飛び出してしまいます。お尻をぎゅっと閉めて、そちらのルートを閉じるようにします。

会陰まで到達したら、そこでとどめます。呼吸法を行い気を追加します。勝手に動き出そうとしたら尾てい骨に移動させます。ここでも呼吸法で気を追加します。このあと、腰の後ろの命門と呼ばれる部分、肩甲骨の間で同じように陽気をとどめ、呼吸で気を追加します。(口伝の方法あり)

首と頭蓋骨をつなぐところを超えて脳内へ移動させますが、ここは通りにくいので何度か移動を繰り返してください。脳内に入ったら、呼吸による気の追加は行いません。天頂のすぐ下に置き、気の質が変化するのを待ちます。

すーすーとした薄荷のような感覚が出たら、額、鼻の後ろ、前歯の間、舌先、喉へと下ろします。この時、舌を前歯の裏につけておくこと。ここは経絡が途切れています。

喉でも陽気をとどめます。強い意識をかけなくても気が強まりますが、強まらなければ呼吸法を行います。それから胸の間に下ろします。ここでも強化を行います。

最終的に丹田に戻しますが、胸の間から下ろす時に見失うことがあります。ですが自然と下りるので慌てないでください。丹田に戻ってくると性質はまた変化して熱くなります。

これで小周天は完成です。これを毎日、一回は行います。

追加

ここには書けないことや口伝、注意することは沢山ありますが、重要なことは気の性質の変化を起こすことです。なぜ全身に気を巡らせるのかと言うと、気の変質を促すためです。逆を言うと変質が起こるのであれば巡らす必要はありません。これは私の師匠から言われました。この説明は次の章で行います